特徴
苧麻(ちょま)の糸を原料にして、精巧な絣柄を織り出す宮古上布は、盛夏のきもの地のなかでは越後上布とともに最高級品とされています。
本麻であるため、丈夫で軽く、通気性に富み汗をかいても肌にまとわりつくことはありません。
沖縄の宮古島、平良市が主産地。経糸、緯糸ともに苧麻から手紡ぎにした糸を用いており、宮古上布の強靱にして、
弾力性を持つ特性はこの手紡ぎの段階にあるといわれています。
黒水晶に例えられる深い紺地は、宮古島特有の琉球藍(泥藍)と蓼藍(すくも)を混合して染色。 それを天日で乾かし、また染色を数十回も繰り返し染め出されます。
そのため水洗いをしても褪色することはなく、かえって藍色が冴え、一層の涼感を与えてくれるもので、南国の太陽の光から生まれる麻織物といえるでしょう。
織りは投げ杼(ひ)の高機ですが、柄が細かく精巧なだけに、緯糸を一本通しては指先や針で絣を合わせていくので、一反織りあげるのに二ヵ月も三ヵ月も要します。
このように、母から子に、子から孫にと着続けられる宮古上布は、苧麻の栽培から始まる一連の作業を、熟練したひとの手と長い月日を要して作り出されています。
歴史
宮古上布は、別名〝薩摩上布〟といわれますが、この名は琉球王朝に対する長い薩摩の支配を物語っています。
宮古上布は万暦一一(一五八三)年に下地稲石が創製し、琉球王尚永に献上したことから始まったといわれています。
やがて、王府指定の貢納布となり、薩摩に侵攻されてからは所納品として明治に続くまで、長く貢物として織られてきました。 かつては、南国の多彩な染料を使い、
のびのびとした絣柄の〈色上布〉もみられましたが、今日の藍染めの紺上布だけになったのは、薩摩の好みに応じたものと考えられています。
技法
丹念に織られた布は、宮古上布特有の〈センダク(洗濯)〉をして仕上げられます。
まず、青い松葉を煎じた汁の中で反物を煮て不純物を取り除くとともに、藍の色止めをします。
このあと水洗い、糊付けを繰り返し、基盤上のアカギと称する厚板の台にのせ、木づちでつち入れして布の端から端までまんべんなくたたきます。
この作業は男性の手で行われましたが、一定のリズムで一定の角度で打ちおろさなければ布を傷つけてしまうため、勘と高度な技術が要求されます。
こうして蝋(ろう)を引いたようなつやが出て、なめらかな宮古上布独特の地風になりますが、実は蝋は一切使用されておらず、糊とつち入れによるものです。
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